検察官が起訴すると,被疑者の呼び方が被告人に変わります.
また,被告人の勾留は,通常は,裁判が終了するまで継続します.そのため,いったん起訴されると,身柄拘束が長期化してしまいます.
そこで,被告人の身柄を解放するために,保釈請求をすることが考えられます.
保釈請求とは,おおまかにいえば,保釈金を裁判所に納めれば,身柄が解放されるという制度です.
事案にもよりますが,最低でも100万円程度必要で,通常は,150万~200万円程度の保釈金となることが多いといえます.
もっとも,被告人の資力や事案の軽重などにも左右されますので,数十万円での保釈が認められることもあります.
保釈請求がなされると,通常は,その日のうちに保釈決定がなされることが多いといえます.
そのため,保釈金が事前に用意されていれば,保釈決定が出てすぐに保釈金を納付することが可能で,結局,当日中に,保釈により釈放されます.
もっとも,事案の内容にもよりますし,検察側から保釈決定に対する不服申立てなどがなされた場合には,最終的な結論がでるまでに1,2日程度必要となることもあります.
刑事裁判では無罪推定の原則があり,検察官が立証責任を負います。その検察官は,有罪を立証するために,証拠調べ請求をしてきますので,弁護人としては,その請求予定の証拠を検討して弁護方針を立て,被告人と打ち合わせをして公判に臨みます。
無罪等を主張して争う事件(否認事件)では,検察官が取調べ請求してきた証拠のうち重要なものは,不同意意見を述べて証人尋問をするなどして反対尋問を行うなどします。
証拠調べが終わったら,最後に弁護側の意見として弁論を述べ,検察官の意見(論告・求刑)に反論し,また,被告人に有利な判決を出すよう裁判官を説得します。
争いがない事件であっても,被害者と示談交渉を行うなどして,被害弁償等を実施することがあります。事件の性質や内容によりますが,被害者と直接に接触して,示談交渉を行い,あるいは,被告人に有利な事情がないか等を聞き取ることがあります。
また,検察官が取調べ請求する証拠はどうしても一方の視点に偏ったものになりがちで,被告人の別の側面に光をあてるような証拠等があれば,弁護側から証拠調べ請求を行って,裁判官に理解してもらうようにします。
判決後も不服申立て等を行うか否かなどについて,裁判例等に基づく見通しや,控訴審が事後審とされていること等も考慮した上で,新証拠の取調べ請求を行うか等も検討して,被告人と協議を行います。